奈良に鹿がいるのは有名な話ですが、あれだけ多くの鹿が道を闊歩している光景はよく考えるととても不思議ですよね。そもそも奈良に鹿がいるのはなぜなのか、今まで考えたことがなかった奈良の鹿の秘密に迫ります。奈良の鹿についてよく知ってから行くと、また違った角度で鹿と触れ合えるかもしれません。

かわいい鹿についてもっと知りたい!
奈良の鹿は何者!?

まずは奈良の鹿について理解を深めていきましょう。奈良の鹿はいったい何者なのか、どこで何頭生息しているのか奈良の鹿の秘密を詳しくご紹介します。
奈良の鹿は天然記念物
奈良の鹿は奈良公園周辺に当たり前のようにたくさんいますが、この鹿たちは奈良県や奈良公園によって飼われている鹿なのでしょうか。いえ、奈良の鹿は誰かが管理・飼育しているものではなく、野生の鹿なのです。「奈良のシカ」として国の天然記念物に制定されているため保護はされていますが、飼育されているわけではありません。

奈良の鹿は野生で天然記念物なんだ!
奈良の鹿が生息するエリア
近鉄奈良駅を出て奈良公園方面へ歩いて行くとすぐに奈良の鹿に遭遇できるでしょう。奈良公園に近くなればなるほど、鹿の数はどんどん増えていきます。奈良の鹿の生息範囲は一体どこからどこまでなのでしょうか。
文化財保護委員会の規定で奈良の鹿は「奈良公園及びその周辺に生息している人馴れしたシカ」とされていますが、その規定も生息範囲が曖昧で異例の規定になっているのです。
元々は春日大社が鹿を所有していたこともあるため、春日大社のある奈良公園内が主な生息範囲です。ただ、ここからここまでと鹿に命令することはできないため、明確に生息範囲が示せないのです。奈良公園から飛び出してしまっている鹿も多く、最近はその範囲がさらに広がっているとも言われています。

奈良の鹿の生息範囲は本来「奈良公園内」。だけど鹿は自由に奈良公園外に飛び出しちゃうからはっきり規定できないんだね。
奈良の鹿は何頭いるの?
2022年7月の調査では、オス204頭・メス747頭・子鹿231頭の全部で1182頭生息しているとされています。502ヘクタールほどの奈良公園に1182頭もいると考えるととても多いと感じますよね。しかし、奈良の鹿の頭数はここ数年減少傾向で、原因としては病気や交通事故で亡くなってしまう鹿が多いことが挙げられます。
奈良の鹿の頭数の最近の調査結果がこちらです。
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
奈良の鹿の頭数 | 1,360頭 | 1,388頭 | 1,286頭 | 1,105頭 | 1,182頭 |
奈良の鹿と触れ合う時の注意事項
奈良の鹿は観光客慣れしているので愛嬌たっぷりで親しみやすいですが、あくまで野生の鹿であることを忘れてはなりません。
まず、奈良の鹿は鹿せんべいが主食だと思われがちですが誤りです。奈良公園にあるシバや木の実などの植物を主食として食べています。勝手に食べ物を上げてしまうとお腹を壊して病気になってしまうこともあります。奈良の鹿に餌をあげる場合は、必ず鹿せんべいを買ってあげましょう。鹿せんべいは米ぬかと小麦粉で出来ており、砂糖や塩・添加物類は一切入っていないため、鹿が安全に食べられるように作られています。
次に、車で奈良へ来る際は、急に道へ飛び出してくる鹿もいるので運転には細心の注意を払うようにしましょう。毎年一定数が交通事故で亡くなっています。天然記念物である鹿を守るためにも、周囲に注意を払い、法定速度を守って運転しましょう。

奈良の鹿をみんなで守っていこう!
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奈良に鹿がいる理由は?

そもそも奈良に鹿がいるのはなぜなのでしょうか。奈良の鹿には日本の歴史が大きく関わっています。767年、春日大社が創建された際、主神の建御雷命(たけみかづちのみこと)が白い鹿に乗ってやってきたという伝説があります。その頃から鹿は神の使いであるとされ、大切に保護されて頭数を増やしていきました。
1000年を超えた現在でも、大切に保護すべき対象として天然記念物に登録され、人々と鹿が同等に共存しているのです。親しみやすい奈良の鹿たちですが、実は奈良にとっては神とも言える存在で、神聖なる動物なのです。次回奈良へ行く際は鹿たちへの見方が変わるかもしれませんね。

奈良の鹿は神様と同じくらい大切にすべき存在なんだ!
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奈良の鹿にまつわる行事

奈良公園では鹿にまつわる行事が開催されています。伝統的な格式高い行事からおもしろい行事までいろいろあるので、興味のある行事を見学してみてはいかがでしょうか。
奈良の鹿にまつわる行事①:鹿寄せ
鹿寄せはナチュラルホルンの音で鹿を呼び寄せる行事で、奈良の風物詩とも言われています。明治25年に開催された鹿園竣工奉告祭でラッパを使って行われたのが始まりで、歴史ある伝統的な行事です。春日大社参道の南側の飛火野で行われ、ナチュラルホルンを吹き始めると森の奥から次々と鹿が集まってきます。集まった鹿たちにはごほうびとして好物のどんぐりが振舞われます。
観光客向けに実施している鹿寄せは夏と冬に一定期間行われています。予約不要・無料で見学できます。あまり知られていませんが、1日1組限定で有料の鹿寄せもあり、個人やグループ単位で申し込みができ、自分たちのためだけに鹿寄せを開催してもらえます。有料の鹿寄せは奈良の鹿愛護会へ1か月前までには申し込みをしましょう。1回21,000円です。
なつの鹿寄せ | 冬の鹿寄せ | |
---|---|---|
開催時間 | 7月~8月の休日 | 1月~2月の休日 |
所要時間 | 30分弱 | 30分弱 |
開始時間 | 9:30~ ※1日1回のみ | 10:00~ ※1日1回のみ |
場所 | 春日大社境内「飛火野(とびひの)」 | 春日大社境内「飛火野(とびひの)」 |
奈良の鹿にまつわる行事②:角きり
角きりは雄鹿の角を切る儀式で、江戸時代から約340年に渡り受け継がれている伝統的な行事です。春日大社の神職による安全祈願祭から始まり、勢子(せこ)と呼ばれる人たちが立派な角を持つ雄鹿を角きり場内へ追い込みます。追い込む様子は迫力満点で、息を飲む光景を目の当たりするでしょう。捕まえられた雄鹿は角を切り落とされていきます。
一見かわいそうにも見える行事ですが、角を切ることは人間と鹿が共生していくうえで必要なことです。この行事があるからこそ、奈良の鹿と人々が触れ合え、共生できているのです。
開催時期 | 毎年10月第2週目の3連休頃 |
開催時間 | 12:00~15:00頃 |
開催場所 | 春日大社境内鹿苑角きり場 |
観覧料 | 大人(中学生以上):1,000円 こども(小学生):500円 |
奈良の鹿にまつわる行事③:鹿せんべい飛ばし大会
鹿せんべい飛ばし大会は鹿せんべいをフリスビーのようにして投げ、その飛距離を競う大会です。伝統行事が多い奈良では異彩を放つユニークなご当地イベントとして知られています。鹿せんべいは鹿せんべい飛ばし大会のためだけに特注された巨大鹿せんべいを使います。直径20センチほどあり、フリスビーさながらの見た目です。
女子の部や子供の部といったグループ分けはなく、老若男女平等に競い合います。優勝者には50メートル~70メートルも飛ばした人がいるほどの強者揃い。優勝者には「鹿の角」でつくられたトロフィーが贈られます。
開催時期 | 1月の山焼き記念大会 3月の春休み大会 5月のゴールデンウィーク大会 |
開催時間 | 1月:12:30~15:00頃 3月・5月:10:00~15:00頃 |
開催場所 | 若草山山麓 |
参加料 | 1月:参加費300円(閉山中のため入山料は無料) 3月・5月:入山料150円 参加費300円 |
奈良の鹿にまつわる行事④:小鹿(赤ちゃん鹿)公開
鹿の赤ちゃんが誕生するシーズンに、鹿の赤ちゃんを公開するイベントが開催されます。出産を控えた鹿を鹿苑にて保護し、ストレスなく安全に安心して出産できる環境を整えます。5~7月の赤ちゃん誕生シーズンに合わせて、生まれて間もないとてもかわいい小鹿たちを一定期間公開してくれます。お母さん鹿との触れ合いはなんとも微笑ましい光景です。その後、7月頃になると小鹿たちは奈良公園デビューを果たします。
開催時期 | 6月頃 |
開催時間 | 11:00~14:00頃 |
開催場所 | 春日大社内鹿苑会場 |
観覧料 | 一般:300円 高校生以下:無料 |

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まとめ
奈良の鹿は1000年を超える歴史を持つ神聖な生き物であることがわかりました。これからも奈良の鹿を守って行くために、奈良の鹿を理解したうえで大切に触れ合っていきたいですね。奈良の鹿にまつわる行事などに参加してもっと奈良の鹿に対する理解を深めてみましょう。
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