眠らない街、東大門。その心臓部である卸売市場は、最新トレンドの服が破格で並ぶ魔法のような場所です。しかし、そこは観光客向けのショッピングモールとは全く異なる「プロの戦場」でもあります。
「一般客でも買えるの?」「1枚だけだと怒られる?」「写真は撮ってもいい?」
そんな不安を抱えて入り口で引き返してしまう初心者は少なくありません。この記事では、最新の卸売市場の歩き方を徹底解説。これを読めば、プロに混ざってスマートに買い物を楽しむ「東大門通」になれるはずです。
東大門卸売市場の基本と最新ルール

東大門の卸売市場は、私たちが普段利用するショッピングモールとは商習慣もルールも全く異なります。まずは現在、現地を訪れる前に必ず知っておくべき「鉄則」を整理しましょう。
ナオコ雰囲気も全然違うよ!
深夜が本番!営業時間と定休日の注意点
東大門の夜は太陽が沈んでからが本番です。観光客が寝静まる頃、プロのバイヤーたちが世界中から集まり、巨大なエネルギーが渦巻きます。
- メインの営業時間:20:00 〜 翌朝05:00
- ベストタイム:22:00 〜 02:00(最も活気があり、商品の回転が速い時間帯)
- 定休日に注意:毎週土曜日の夜〜日曜日の夜は、多くの卸売ビルが休業します。
- 金曜日の夜:営業していますが、翌朝が休みのた早めに閉める店もあります。
- 日曜日の夜:20:00頃から週明けの営業がスタートします。
一般客も買える?卸売と小売の違いを解説
卸売市場の本来の顧客は店舗を持つプロのバイヤーです。一般客が買い物をするには、現在のトレンドを理解する必要があります。
| 卸売 | 小売 | |
|---|---|---|
| 主なビル | apM・Designer Club・Team204 | Doota!・hello apM |
| 購入単位 | 原則1型2枚〜(色違いOKな店も) | 1枚から購入可能 |
| 試着 | 絶対に不可 | 可能 |
| 一般客への対応 | 店によるが以前より寛容に | 非常にフレンドリー |
最近では、SNSの普及により個人バイヤー(転売目的ではない個人)が増えたため、1枚から販売してくれる店(サンプル販売)も増えていますが、基本は同じデザインを2枚以上がマナーです。
撮影厳禁!市場でやってはいけない事
卸売市場には、プロの世界ならではのタブーが存在します。これを知らずにトラブルになる初心者が多いため、以下の3点は必ず守ってください。
- 勝手に写真を撮らない
- 最新デザインの盗用を防ぐため、店内の撮影は厳禁です。スマホを向けるだけで厳しく注意されることがあります。
- 通路に置いてある大袋(大封)を跨がない
- 通路にある大きなビニール袋は出荷待ちの大切な商品です。これらを蹴ったり跨いだりするのは、商売道具を粗末に扱う行為とみなされ、非常に嫌がられます。
- 接客中のバイヤーを邪魔しない
- 店員が大量の伝票を処理している時はバイヤーとの取引中です。一般客の「これいくら?」という質問は、相手の手が空くのを待ってからにしましょう。
オンライン注文主流による在庫なし問題
現在、東大門の卸売市場は劇的なデジタル化(DX)の真っ只中にあります。かつてのように店頭に山積みされた在庫をその場で買うスタイルからオンライン注文・後日配送へとシフトしている点に注意が必要です。
WeChat・カカオトークでの取引が中心
プロのバイヤーたちは、WeChat(主に中国向け)やカカオトーク(韓国内・日本向け)を通じて、新作の確認から発注、決済までをスマホ一つで完結させています。そのため、店舗は「現物を売る場所」から「サンプルを展示するショールーム」としての性格を強めています。
「店頭在庫ゼロ」が当たり前に
店頭に並んでいる服はあくまでサンプルで、在庫は別の倉庫で管理されているケースが激増しました。一般客が「これ今すぐ買いたい」と言っても、「在庫がないから明日の夜に来て(明日の夜に入荷する)」と言われるパターンが標準化しています。
初心者が知っておくべき対策
サンプルのタグを撮影させてもらう
購入を決めたら、商品タグや店舗名(住所)を写真に撮り、後でLINEやカカオトークで連絡できるか確認しましょう(※ただし店内全体の撮影はNG)。
「在庫(チェゴ)ありますか?」と先に聞く
気に入ったものがあっても、まずは在庫の有無を確認するのがスマート。在庫があればラッキー、なければ明日また来るか配送(テボン)してもらうかの判断が必要です。
プロの視点:以前のような現金と引き換えにその場で袋を担いで帰る光景は、小物やアクセサリーを除き衣類卸売では減少傾向にあります。このオンライン化の流れを理解していると、店員さんから「この客、仕組みをわかってるな」と一目置かれ、スムーズな対応を引き出しやすくなります。
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【初心者向け】おすすめ卸売ビル3選

東大門の卸売エリアは、大きく分けて「東側(歴史文化公園駅側)」と「西側(新堂駅側)」に分かれます。初心者は、まず以下の3つのビルを拠点にするのが失敗しないコツです。

1. 一般客に最も優しく高品質な「apM Place」
東大門卸売の中で、最もショールームに近い洗練された雰囲気を放つのが「apM Place」です。建物全体が非常に綺麗で、まるで高級デパートのような内装です。扱っている商品のクオリティが非常に高く、韓国の有名セレクトショップの多くがここで仕入れを行っています。他の古いビルに比べて店員さんの対応が丁寧で、英語や日本語が通じるスタッフも多いです。
- シャトルバスの活用
- 姉妹ビルの「apM Luxe」との間を無料シャトルバスが頻繁に往復しています。これを利用すれば、深夜の移動も楽々です。
- 地下フロアの小物
- 服だけでなく、地下フロアには洗練されたバッグや靴の卸もあり、1点から購入可能なショップも見つけやすいです。
2. トレンドの最先端を走る「Designer Club」
「今のソウルの流行」を最速でキャッチしたいなら、このビルは外せません。10代後半〜20代向けのストリートカジュアルやトレンド感の強いアイテムが密集しています。価格帯も比較的リーズナブルで、若いバイヤーたちが熱心に買い付けを行うエネルギッシュな場所です。地下フロアが充実しており、カジュアルなTシャツやスウェットなど初心者がバラ売り(1枚買い)を交渉しやすいアイテムが豊富です。
- 地下の掘り出し物
- 地下階にはアクセサリーやファッション小物の卸も入っており、最新のデザインが驚くような卸値で見つかります。
3. アクセサリーの聖地!初心者必見の「nyu nyu」
「服の卸売はハードルが高い…」という方が、まず卸売体験として訪れるべきなのが、今や観光名所ともなっている「nyu nyu」です。壁一面、天井近くまで数万点のピアス・ネックレス・ヘアアクセサリーが並ぶ光景は圧巻です。ここは卸売の仕組みを取り入れつつも、1点から購入可能かつバーコードによる明朗会計という、初心者にとって神のようなシステムです。
- TAX FREE対応
- 免税手続きがその場でできる機械もあり、一般観光客へのサービスが充実しています。
- 混雑回避
- 20時〜22時頃は非常に混雑するため、あえて深夜2時以降に行くと、ゆっくりと商品を選ぶことができます。
プロに見える!失敗しない買い方と術

卸売市場は単なるショッピングの場ではなく商談の場です。プロのバイヤーに見える振る舞いをするだけで、店員さんの対応がスムーズになり、バラ売りの交渉もしやすくなります。
バラ売りOK?「サンプリ」を勝ち取るコツ
卸売の基本は同じデザインを2枚以上ですが、初心者でも1枚から購入できる「サンプル販売(サンプリ)」を狙う方法があります。
- 「1枚だけ(チャンジャン)」は魔法の言葉
- 「これ1枚だけ買えますか?」と聞く際に、「サンプルとしてチェックしたい」というニュアンスを含ませるのがプロ流。
- 狙い目は現品限りや色欠け
- 店頭の在庫が最後の一点だったり、特定の色だけ残っている場合は、1枚でも売ってくれる確率が格段に上がります。
- 交渉のタイミング
- 忙しい24時前後は避け、少し落ち着く深夜2時以降に「これ、サンプルで1枚だけ可能ですか?」と丁寧に聞くのが最も成功率が高いです。
現金が基本!クレカが使えない理由と対策
2026年現在も、東大門の卸売ビルでは現金(韓国ウォン)決済が圧倒的な主流です。卸値は限界まで安く設定されているため、カード手数料を嫌う店舗がほとんどだからです。カードが使える店でも、10%程度の事務手数料を上乗せされることがあります。
ビル内のATMは深夜、長蛇の列になることがあります。あらかじめ明洞や安国などの両替所で、十分なウォンを用意しておきましょう。購入した際は、必ず領収書(ジャンブ)をもらってください。万が一の不良品交換や、後で「あのお店どこだっけ?」となった時の貴重な住所録になります。
挨拶が重要!店員に好かれる魔法の言葉
市場の店員さんは無愛想に見えますが、それは戦場で忙しく働いているからです。基本的な韓国語の挨拶一つで、態度は劇的に変わります。
- 入店時: 「アンニョンハセヨ(こんにちは/こんばんは)」
- 値段を聞く時: 「オルマエヨ?(いくらですか?)」
- 在庫を聞く時: 「チェゴ イッソヨ?(在庫ありますか?)」
- 去り際: 「スゴハセヨ(お疲れ様です/お仕事頑張ってください)」
ナオコ「スゴハセヨ」は、働く相手を労うプロ同士の挨拶として非常に効果的!
さらに、観光客然とした格好ではなく、動きやすいスニーカーに大きなトートバッグを持つだけで店員さんの警戒心が解けます。
現場で飛び交う専門用語集

覚えておくとプロっぽく聞こえる用語をまとめました。知っているだけで買い物がスムーズに進むでしょう。
| 用語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 낱개 | ナッケ | バラ売り、1点買い |
| 대봉 | テボン | 商品を入れる大きなビニール袋。これを持っているとプロに見える。 |
| 신상 | シンサン | 新作。常に「シンサンありますか?」と聞くのがバイヤーの基本 |
| 장부 | ジャンブ | 伝票・領収書。再訪や注文時に必須のアイテム |
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知っておくと便利!戦利品の配送とパッキング

卸売市場で大量に買い付けた戦利品をどう処理するか。これを知っているだけで、深夜の機動力と帰国時のストレスが劇的に変わります。
重い荷物は「配送代行」でホテルへ送る
卸売エリアには、買った商品をその場で預かり、翌朝までにホテルへ届けてくれる配送代行サービスが点在しています。
- 利用方法:ビル周辺にある「配送(Bae-song)」の看板がある窓口へ。1袋あたり数千ウォン〜と格安で、重い荷物から解放されます。
- メリット:深夜にタクシーを拾う際、大きな荷物がないため拒否されるリスクが減り、スマートに帰宅できます。
空港へ直行?パッキングサービスの活用術
東大門の主要な卸売ビルの1階や路地には、専用の透明テープとビニールで荷物をガチガチに固めてくれるパッキング(梱包)屋が存在します。10枚以上の服も空気を抜いて極限まで圧縮し、持ち手を作ってくれます。段ボール(BOX)販売も行っているため、その場で預け入れ荷物用の箱を作ってもらうことも可能です。
大量購入ならEMSで日本へ直送する手順
「LCCだから重量制限が心配」「手ぶらで帰りたい」という方は、現地の国際郵便(EMS)代行を利用しましょう。多くの卸売ビルの地下や周辺に、日本への発送を専門に扱う物流会社が入っています。必要なのは送り状(Waybill)に日本の住所を英語または韓国語で記入するだけ。最近はスマホのアプリで送り状を事前作成し、QRコードを提示するだけで発送が完了するシステムが主流になっています。
深夜の東大門を120%楽しむサバイバル術

卸売市場の戦場を生き抜くには、適切な休憩とエネルギー補給、そして確実な帰宅手段の確保が不可欠です。深夜から早朝にかけての立ち回り方をマスターしましょう。
買い物途中に!深夜営業の絶品市場グルメ
東大門の夜は、バイヤーたちの胃袋を満たすためのガッツリ系グルメの宝庫です。
- アグランコッケラン
- 24時間営業で、深夜でも絶品のカンジャンケジャン(カニの醤油漬け)が楽しめます。買い物で疲れた体に、濃厚なカニの旨味が染み渡ります。
- 深夜のタッカンマリ通り
- 卸売エリアから徒歩圏内。深夜2時頃まで営業している店も多く、数人でシェアしてスタミナを回復するのに最適です。
冬は極寒!卸売市場を歩く時の服装と持ち物
冬のソウルの夜はマイナス10度を下回ることが珍しくありません。外は極寒ですが、ビルの中は熱気と暖房で汗ばむほどです。簡単に脱ぎ着できる超軽量ダウンや大判ストールが重宝します。さらに、コンクリートの照り返しで足元から冷えるため、厚手の靴下やボア付きのスニーカーを推奨します。
また、深夜のタクシー配車や翻訳アプリの使用で、想像以上にスマホの充電を消費します。寒さでバッテリーの減りも早まるため大容量のものを持ち歩きましょう。
戦いの後に!始発を待つための休憩スポット
「深夜3時に買い物が終わったけれど、タクシーが捕まらない…」そんな時の避難場所です。
- 24時間営業カフェ「Cafe de Fessonia」
- DDP内にある広々としたカフェ。深夜でもプロのバイヤーたちがPCを広げて作業している、落ち着いた空間です。
- スパレックス(Sparex)東大門店
- グッドモーニングシティの地下にある巨大なチムジルバン(韓国式サウナ)。始発まで仮眠を取りたい時の救世主です。
深夜の帰宅難民を回避する最新アクセス術
流しのタクシーを捕まえるのは至難の業です。以下のアプリを事前に日本で設定しておきましょう。
- Kakao T (カカオタクシー)
- 韓国最強の配車アプリ。日本発行のクレジットカードを登録できる「TABA」との連携や、現地決済オプション「Pay to driver」を使いこなせば、韓国の電話番号がなくても利用可能です。
- Uber (ウーバー / UT)
- 東大門ではKakao Tが混雑している際、Uberの方がマッチングしやすいケースがあります。普段日本で使っているアカウントがそのまま使えるのが最大の利点です。
- 深夜バス「オルミ(深夜専用)バス」
- N13/N15/N26など主要エリアを結ぶ深夜バスが運行しています。交通系ICカード(T-money)があれば、数百円で帰宅できる最強の節約術です。

まとめ:ルールを守って東大門を制覇しよう
東大門の卸売市場は、単なるショッピングスポットではなく韓国ファッションの心臓部です。プロへの敬意を忘れず、最新のルールやマナーを守ることで、一般の観光では決して味わえない「本物のソウル」に触れることができます。


