立山黒部アルペンルートは富山の立山と長野の扇沢を結ぶ山岳ルートで、複数の乗り物を乗り継いで進むのが人気です。雪の大谷が開催される春の大混雑シーズンに行ってきたので、見どころや所要時間をチェックしてみてください。
立山黒部アルペンルートの基本情報

立山黒部アルペンルートは富山県の立山と長野県の扇沢を結ぶ壮大な山岳観光ルートで、四季折々の絶景が楽しめます。春は巨大な雪の壁「雪の大谷」、夏は緑豊かな登山道、秋は紅葉、冬は雪景色が魅力。ケーブルカー・ロープウェイ・高原バスなどを乗り継ぎながら日本アルプスの美しい大自然を満喫できます。海外からの観光客も非常に多く、世界的にも有名な観光スポットです。
立山黒部アルペンルートの全体像

立山黒部アルペンルートは立山から扇沢へ、もしくは扇沢から立山へ一方通行で通り抜けるコースがメインです。時間の都合で立山から室堂、扇沢から室堂の間を折り返すケースもあります。全体のコースを見てみましょう。
立山ケーブルカー(所要時間:約7分)
立山高原バス(所要時間:約50分)
弥陀ヶ原・天狗平を通過
立山トンネル電気バス(所要時間:約10分)
立山ロープウェイ(所要時間:約7分)
黒部ケーブルカー(所要時間:約5分)
徒歩(所要時間:約15分)
トンネル電気バス(所要時間:約16分)
立山黒部アルペンルートの開通期間

立山黒部アルペンルートは山岳ルートのため、冬山への入山はできず、開通期間が決められています。例年4月中旬から11月末までが開通期間です。ちなみに2025年度は4月15日~11月30日です。誤って開通期間外に行かないように注意してください。
雪の大谷の公開期間

雪の大谷は立山黒部アルペンルートの春の名物で、高さ約20mにもなる巨大な雪の壁が続く絶景スポットです。毎年4月中旬から6月頃まで一般公開され、歩行者専用の「雪の大谷ウォーク」では圧倒的な雪の迫力を体感できます。ちなみに2025年度は4月15日~6月25日が公開期間です。
服装や持ち物

立山黒部アルペンルートは標高2000m以上の地点へ行くので、夏でも冬のように寒いのが特徴です。4月末に行きましたが、室堂・大観峰付近は特に寒さが強く、気温は2~3℃で雪も降っていました。そのため、持ち物に注意する必要があります。必要だと思ったのはこちらのアイテムです。
- ダウンジャケットなどの防寒具
- サングラス
- 手袋
- 雪の上を歩きやすい靴
ダウンジャケットなどの防寒具はマストアイテムです。寒さで観光どころではなくなるので必ず持って行きましょう。また、雪の大谷では360度雪景色となりとてもまぶしいので、サングラスがあると非常に便利です。さらに雪の大谷の雪壁は手で触ることができるので、手袋も必要だと思いました。出発地点になる立山・扇沢では防寒具の販売もしているので、忘れてしまったアイテムは現地で購入するとよいでしょう。
予約はできる?

立山黒部アルペンルートの乗車券は事前予約が可能です。公式サイトの「WEBきっぷ」サービスを利用すると、オンラインで簡単に予約・購入できます。当日券も各乗車駅で販売されていますが、繁忙期はとても混雑するため事前予約がおすすめです。
または団体ツアーに参加するのもおすすめです。立山黒部アルペンルートに来る方は団体ツアーに参加してやって来る方が非常に多いです。面倒な切符の手続きや時間の管理が必要ないのでラクです。
今回クラブツーリズムの立山黒部アルペンルートツアーに参加しました。添乗員付きでリーズナブルな価格設定です。ぜひ利用してみてください。
立山黒部アルペンルートを攻略!

それでは、実際に立山黒部アルペンルートに行ってきた情報を交えてご紹介します。朝9:40に最初の乗り物に乗車し、最終地点の扇沢に到着したのが15:50頃でした。立山黒部アルペンルート通過の所要時間は6時間10分ほどです。立山駅までのアクセス、扇沢からのアクセスを考えると丸1日かかると考えておいた方がよいでしょう。
9:40発 立山駅から立山ケーブルカーに乗車

立山駅はレトロなデザインで、昭和を思わせる趣があります。階段を上って右手に進むと立山ケーブルカー乗り場です。WEBきっぷを購入している方は階段を上った左側に受取機があるので、そこでQRコードをかざしてきっぷを受け取りましょう。
駅舎前には充実したお土産コーナーがありますが、これからアルペンルートに出発する方はあまり買いすぎないほうがよいでしょう。扇沢から出発して立山が終着地点の方向けのお土産コーナーです。ちなみに、防寒グッズも一緒に売っているので忘れた方はここで調達できます。

立山ケーブルカーは2台が連結されており、平均勾配24度の坂を上ります。午前中でもすでに人が多く、席には座れない満員電車の状態で進みますが、7分ほどなのでそこまで気になりません。途中進行方向左手に見える柱のようになっている材木石が見どころです。
10:20発 美女平で立山高原バスへ乗り換え

立山ケーブルカーで美女平に到着したら案内に従ってそのまま立山高原バスが出発する乗り場へ向かいます。美女平は見学スポットではなく単純な乗り換えスポットです。ここは待ち時間少なく比較的スムーズに乗り換えができました。立山高原バスは大型観光バス仕様なので全員座れるようになっています。3台が同じ時間帯に出発しており、自由席なので順番に詰めて座ります。

立山高原バスは標高差約1,500mの山道を登っていきます。しばらくすると雪の量がどんどん増えてきて標高の高いところに来たなという実感が沸きます。車内のモニターに見どころの解説ビデオが流れているので、車窓からの見どころを見逃しません。タテヤマスギの巨木・称名滝・弥陀ヶ原・天狗平はチェックしておきましょう。室堂に到着する手前では雪の大谷をバスで走り抜けます。ゆっくり走ってくれるのでバスの中からも雪の大谷を楽しめます。
雪の大谷と室堂散策

室堂ターミナルに到着したら、1階ロビーからさらに階段を下りて外に出ます。室堂ターミナルはアルペンルート内で最も標高の高い施設。一気に寒さを感じつつも一面の雪景色が見られます。2階建てになっていて、2階にはレストラン立山とホテル立山のフロントがあります。宿泊料金はやや高めですが、日本最高所のホテルとして有名で、夜は満天の星空を間近に見られることで人気です。
外に出て少し進むと雪の大谷を作る除雪車展示コーナーがあります。巨大な雪の大谷を作るだけあって除雪車も巨大です。さらに道なりに進むとさっそく雪の大谷が始まります。高さ20mにもなる雪の壁が両サイドにそびえ立ち、その間を歩けるようになっています。立山高原バスが通過するときが絶好の撮影タイミング。バスと雪壁の高さの違いがわかるように撮影するのがおすすめです。

15分くらい歩くと雪の大谷が終了するので、帰りはそこからパノラマ広場に入りパノラマロードを通って戻るとよいでしょう。大パノラマで立山の雪景色を一望しながら歩けます。雪遊びができるふれあい広場やリラックスチェアに腰かけて雪景色を鑑賞できる立山ユキテラスもあり、立山の雪を存分に楽しめます。雪の大谷のトータル見学所要時間は約1時間です。
室堂ターミナルに戻り、屋上の展望台に行ってみましょう。より高い場所から室堂の雪景色が見渡せます。さらに屋上の裏手から「小さい雪の大谷」と呼ばれる雪の回廊へ行けます。みくりが池や室堂平が広がるエリアですが、ここは雪のない夏の方が見応えがあるかもしれません。
室堂ターミナルで大混雑のランチ

室堂でランチタイムになりますが、この時間帯は混雑具合がMAXなのでお昼を食べるのも結構大変です。ホテル立山内にあるレストラン立山ではカレーやカツ丼・氷見うどんなどのメニューがあります。または、1階にある立山そばという立ち食いそば屋があり、短時間で済ませたい方に向いています。
お弁当を持って行く場合は階段の踊り場などにベンチが設けられているので、ベンチに座って食べることになります。ただ、ベンチも取り合いになるので空くのを待つことになるかもしれません。お昼が終わる頃になると立山高原バスやトンネルバスが出発する1階は人で覆い尽くされた状態になっていて通り抜けするのも大変です。
13:00発 室堂から立山トンネルバスに乗車

12:45頃に集合し指示された番号の後ろに並びます。ゲートが空いたら並んで進んでいき、13:00発の立山トンネルバスに乗り込みます。今までトロリーバスが長年運行していましたが、2025年から環境に優しい電気バスに変わりました。バスのラッピングがバスごとに違うので見てみましょう。大観峰までは山の中のトンネルをずっと走ります。乗車時間は約10分ですが、路線バス仕様なので座れないことも多いです。
13:40発 大観峰で立山ロープウェイに乗車

大観峰に到着すると団体は2階へ誘導され、アナウンスがあるまで待機です。この時間で屋上の雲上テラスへも行けます。放送で呼ばれたら1階に降り、立山ロープウェイ乗り場へ進みます。立山ロープウェイは支柱がないワンスパン方式のロープウェイ。ワンスパン式では日本一の長さを誇ります。
本来であればロープウェイ内から立山の大自然が見渡せるのですが、人が多すぎて乗れるだけ詰め込むのでまさに朝の満員電車状態。中心部に行ってしまうと外の景色は一切見えません。ここはかなり残念なポイントでした。
パノラマテラスから雪山の大パノラマを

黒部平に到着するとターミナル内が団体客で大混雑なので、次の黒部ケーブルカー乗車まで1時間ほど待ちました。この時間を利用して外階段を上り、黒部平パノラマテラスで雪景色を大パノラマで鑑賞できます。ただ、春の時期は雪も降り、寒さも厳しいので長時間の滞在は難しいでしょう。ターミナル内にお土産屋さんと軽食コーナーがあるので時間をつぶします。人の多さもあり疲れが出てくる頃なのでもう少し座って休憩できる場所があるといいなと思いました。
14:40発 黒部平から黒部ケーブルカーに乗車

黒部平でも指示された番号の後ろに並び、ゲートが空いたら並んで入場します。黒部ケーブルカーは日本で唯一の地下を走るケーブルカー。トンネル内の急斜面を下っていきます。一番前に場所を取れると良いですが、ここも混雑しているのでほぼ座れず、良い位置が取れる保証もありません。今回座れませんでしたが運よく前が見える位置を確保できました。乗車中にもう1台のケーブルカーとすれ違うところが見どころです。
黒部湖から徒歩で黒部ダムへ

黒部湖駅に着いたら案内に従って地下トンネルを徒歩で進み、トンネルを抜けると黒部ダムがあります。黒部ダムの観光シーズンは観光放水が開催される6月末から10月中旬の時期です。この期間外の春は観光スポットという雰囲気からはかけ離れていました。とても静かでどこか寂しげな雰囲気でした。黒部ダムをメインにしたいなら夏に行くのがよいでしょう。
黒部ダムを抜けて行くと再度トンネルに入り、少し進んで左手にある階段を上ると黒部ダム駅があります。すでにかなり疲れているので、最後の階段が結構堪えます。トンネル内には黒部ダムの建設過程が当時の写真を添えて展示されており、映画「黒部の太陽」を思い出します。
15:35発 黒部ダムから関電トンネル電気バスに乗車

立山アルペンルート最後の乗り物です。扇沢までのトンネル電気バスに乗車します。この区間も元々トロリーバスが運行していましたが、2019年より現在の電気バスに切り替わっています。このバスも路線バス仕様なので座れないこともあります。所要時間は約16分ですが、疲れているので絶対に座りたい一心でした。
冷たい地下水と土砂が噴出した破砕帯は黒部川第四発電所(通称くろよん)建設最大の難所だった場所。当時多くの犠牲者を出した場所でもあります。破砕帯は青い看板や照明で照らされているので注目してみてください。現在も流れ出ている破砕帯の水も見られます。
15:50頃 扇沢到着

トンネルを抜けるとまもなく扇沢到着。立山アルペンルートの旅が終了します。扇沢にはお土産コーナーもありますが、すでに扇沢は長野県に入っているので長野のお土産が中心です。富山のお土産が買えないのが残念でした。扇沢からは信濃大町駅まで路線バスが走っています。大町温泉郷を通るので、その日は大町温泉に宿泊して旅の疲れを早めに癒すのもおすすめです。
まとめ
春の立山黒部アルペンルートについて解説してきました。春の見どころは何と言っても雪の大谷。国内外から人気があるイベントなので混雑必至ですが、圧倒的な雪を間近で見てみてください。