宮島に到着した瞬間、フェリー乗り場の目の前に鹿がいる光景に驚いた方も多いのではないでしょうか。そして観光前に知っておいてほしいことがあります。宮島の鹿は、紙を食べます。
地図やパンフレット、お土産の紙袋。そして最悪の場合、フェリーの帰りの切符まで狙われます。実際に切符を食べられてしまった観光客の目撃談も報告されています。
結論からお伝えすると、紙類と食べ物をカバンにしまっておけば、ほとんどのトラブルは防げます。
私自身は何度も宮島を訪れていますが、幸い鹿に持ち物を狙われた経験はありません。ただしそれは運が良かっただけかもしれません。この記事では、実際に起きている被害と具体的な対策をお伝えします。
この記事でわかること
- 宮島の鹿が紙を食べるという事実
- 切符や地図を守る具体的な方法
- 紙を与えてはいけない理由
- 噛まれる・蹴られる危険な場面
- 鹿と安全に過ごすためのルール
結論|紙と食べ物を隠す

宮島の鹿対策は、突き詰めると「見せない」の一言です。
最優先は切符と地図
守るべき優先順位を整理します。
| 優先度 | 守るもの | 食べられたときの影響 |
|---|---|---|
| 最優先 | フェリーの切符 | 帰れなくなる可能性 |
| 高 | 地図・パンフレット | 観光に支障が出る |
| 高 | お土産の紙袋 | 中身ごと被害に |
| 中 | レシート・チケット類 | 記録が消える |
最も避けたいのが切符です。宮島の事業者も「フェリーの帰りの切符を食べられている方」を目撃したと報告しています。現在は交通系ICカードが使える場面も多いのですが、紙の切符を持つ場合は特に注意してください。
食べ物は絶対に見せない
紙以上に危険なのが食べ物です。宮島では餌やりが禁止されており、鹿せんべいの販売もありません。
にもかかわらず鹿が人に近づいてくるのは、過去に人から食べ物をもらった記憶があるからです。手に食べ物を持っていると、複数の鹿が一気に集まってきます。
表参道商店街で買った焼き牡蠣やもみじ饅頭を歩きながら食べるのは、トラブルを招く行為だと考えてください。食べ歩きをするなら、店先や休憩スペースなど鹿が近づきにくい場所で立ち止まるのが安全です。
距離を取れば安全
逆に言えば、紙と食べ物さえ見せなければ、鹿は基本的におとなしいです。
私が何度訪れても被害に遭わなかったのは、手に何も持たずに歩いていたからという面が大きいと思います。カメラを構えて写真を撮るだけなら、鹿が寄ってくることはありませんでした。
適度な距離を保って観察する。 これが最も安全で、鹿にとっても優しい接し方です。
宮島の鹿は基本的に穏やかで、こちらから何もしなければ攻撃してくることはありません。過度に怖がる必要はなく、持ち物の管理だけ気をつければ十分です。
鹿は紙を本当に食べる

「紙を食べるなんて大げさでは」と思う方もいるかもしれません。実際に起きている被害を見てください。
切符を食べられた実例
宮島で体験教室を運営する事業者は、実際に目撃した被害としてこう記録しています。
- フェリーの帰りの切符を食べられている方
- 買ったばかりのにぎり天を狙われている方
帰りの切符は、食べられたら本当に困ります。 その場で買い直せるとはいえ、余計な出費と時間のロスになります。
観光の最後、疲れた状態でこのトラブルに見舞われると、旅の印象そのものが変わってしまいます。帰り道こそ油断しないことが大切です。
地図やパンフレットも狙う
紙類全般が対象です。旅行口コミサイトには、こんな体験談が投稿されています。
「地図を片手に持ってぼーっとしていたら鹿が近づいてきて、すごい勢いで食べられた」
さらに宮島の宿泊施設は、より具体的な警告を出しています。「後ろのポケットに地図を入れておいたら、いつの間にか食べられていた」というケースもあるそうです。
手に持っていなくても、ポケットから抜き取られるということです。
鹿は音や匂いに敏感で、紙のカサカサという音にも反応します。尻ポケットや上着の外ポケットは特に危険だと覚えておいてください。
紙袋を持つと寄ってくる
お土産を買った後も油断できません。
鹿はお土産の紙袋を持っていると、目の色を変えて近付いてきます。 紙袋そのものだけでなく、中身の匂いにも反応するためです。
つまり表参道商店街で買い物をした後こそ、最も狙われやすいということになります。買い物袋は手に提げず、大きめのトートバッグやリュックに入れてしまうのが確実です。
持ち物を守る具体策

実害を知ったうえで、具体的にどう守るかをお伝えします。
切符はカバンの奥へ
最優先の対策です。フェリーの切符は、乗る直前までカバンの奥にしまってください。
- ポケットに入れない(抜き取られる)
- 手に持たない(狙われる)
- 財布やパスケースの中へ
- できれば交通系ICカードを使う
「すぐ出せるように」とポケットに入れる方が多いのですが、宮島ではこれが最も危険です。
手に持って歩かない
地図やパンフレットも同じです。
必要なときだけ取り出し、確認したらすぐしまう。この習慣だけでリスクは大きく下がります。
そもそも紙の地図を持ち歩く必要はありません。スマホの地図アプリを使えば、鹿に狙われる要素がひとつ消えます。
宮島は島全体が観光地として整備されており、スマホの電波も問題なく入ります。紙の地図をもらっても、すぐカバンにしまうのが賢明です。
リュックは前に抱える
意外と見落とされるのが、背中側の無防備さです。
リュックの外ポケットにパンフレットを入れていたり、サイドポケットにペットボトルを差していたりすると、背後から鹿に狙われても気づけません。
鹿が多いエリアを歩くときは、リュックを前に抱えるのが安全です。混雑した観光地では、スリ対策としても有効な持ち方になります。
紙を与えてはいけない

ここで、やってしまいがちな善意の行動についてお伝えします。
チラシは鹿に有害
宮島の鹿を管理する廿日市市の担当者は、こんな誤解があると指摘しています。
「草食獣は紙を食べる」と思っている方がいる——特に年配の方に多いそうです。
しかし担当者はこう続けます。「それは紙の原料の主流がパルプだったときの話で、現在普及しているチラシの多くは鹿にとって有害なので与えないでほしい」。
つまり「紙なら大丈夫だろう」という感覚は、完全に間違っています。現代の印刷物はインクや加工剤を含み、鹿の体に害を与えます。
善意の餌やりが命を削る
餌やりが禁止されている理由を整理します。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 人への攻撃 | 食べ物の味を覚えた鹿が人を襲うようになる |
| 交通事故 | 人に慣れた鹿が道路に飛び出す |
| ゴミの誤飲 | 食べ物とゴミの区別がつかなくなる |
| 生態系被害 | 下草が食べ尽くされ土砂崩れのリスクに |
| 山へ返せない | 市街地への定着が進む |
廿日市市も、給餌などの人為的関与によって市街地へのシカの定着と生息密度の増加が起き、鹿自身にも誤って食べた異物が胃に蓄積して栄養障害などの健康被害が見られるようになったと説明しています。
ゴミの誤飲で死ぬことも
最も深刻なのが誤飲による死亡です。
解剖された鹿の胃の中から、ビニール袋などのゴミが大量に見つかった事例も報告されています。「かわいそうだから」と与えた一枚のチラシが、その鹿の命を縮める可能性があります。
餌をあげないことが、鹿を守ることになる。 この逆説を、ぜひ理解しておいてください。
噛む蹴るの危険な場面

紙や食べ物以外にも、注意すべき場面があります。宮島の鹿は野生動物です。
食べ物を見せたとき
最も多いパターンです。鹿が一気に集まり、奪おうと突進してくることがあります。複数の鹿に囲まれると、逃げ場がなくなります。手に食べ物を持ったまま立ち止まらないでください。
繁殖期のオスに近づく
9〜11月の繁殖期は、オス鹿が特に気が荒くなります。角を持つオスに不用意に近づくと、角で突かれる危険があります。写真を撮りたい気持ちは分かりますが、この時期は特に距離を保ってください。
子連れの母鹿に近づく
5〜7月は子鹿が生まれる季節です。子鹿を見かけると近づきたくなりますが、これも危険です。母鹿は子を守ろうと突進してくることがあります。かわいい子鹿ほど、遠くから見守ってください。
その他、注意すべき行動をまとめます。
- 鹿を囲んで追い回す(パニックを起こす)
- 突然触れようとする(驚いて蹴る・噛む)
- 大声を出す・驚かせる
宮島の鹿は人に慣れているだけで、ペットではありません。
厳島神社にカップルで行くと別れるという噂の真相を解説しています。

なぜ宮島に鹿が多いか

ここからは、宮島の鹿の背景を知っておきましょう。知ると観察がぐっと面白くなります。
泳いで島へ渡ってきた
「島なのになぜ鹿がいるの?」という疑問をよく聞きます。
答えは単純で、鹿は泳ぎが得意だからです。数キロの海を渡ることができ、本土から泳いで宮島にたどり着いた鹿が繁殖を重ねて現在に至ります。
誰かが連れてきたのではなく、自力で渡ってきた野生の鹿です。
現在は約600頭が生息
宮島には約600頭の鹿が生息しているとされています。そのうち約200頭が市街地エリアに暮らしており、これが「どこへ行っても鹿がいる」と感じる理由です。
| エリア | 出没状況 |
|---|---|
| 宮島桟橋周辺 | 上陸直後から数頭が出迎える |
| 厳島神社・海岸通り | 参拝ルート沿いに多数 |
| 表参道商店街 | 昼頃に食べ物を求めて出没 |
| 紅葉谷公園・大元公園 | 20〜30頭の群れも |
調査では1平方キロあたり100頭が密集するエリアもあることが判明しています。
奈良より歴史が古い
意外な事実をひとつ。宮島の鹿は、厳島神社が創建された593年よりも前から島に生息していたとされています。
「観光促進のために奈良から連れてきた」という説を耳にすることがありますが、実際は奈良の鹿より歴史が古いのです。
なお宮島の鹿は本土のニホンジカより体格が小さいのですが、これは栄養不足ではありません。限られた島の環境で生き抜くため、体を小さく保って消費エネルギーを抑えるという野生の適応です。成熟したメス鹿の繁殖率は8割以上あることが確認されています。
鹿と安全に過ごす方法

ルールを守れば、鹿との時間は宮島観光のハイライトになります。
OKとNGの行動一覧
判断に迷わないよう、一覧にまとめました。
| 行動 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 遠くから写真を撮る | OK | 距離を保てば鹿もストレスなし |
| 近づいてきたら立ち止まる | OK | 静かにしていれば問題なし |
| 餌を与える | NG | 禁止。人身事故と健康被害の原因 |
| 食べ物や紙を見せる | NG | 鹿が一気に集まり危険 |
| 触ろうと手を伸ばす | NG | 驚いた鹿が噛む・蹴る |
| 子鹿・子連れ母鹿に近づく | NG | 母鹿が保護行動に出る |
| 角のあるオスに近づく | NG | 繁殖期は特に攻撃的 |
出会いやすい場所と時間
鹿に会いたいなら、狙い目があります。
- 場所:
- 宮島桟橋周辺・厳島神社への海岸通り・紅葉谷公園・大元公園
- 時間:
- 早朝と夕方が活動的
- 穴場:
- 大元公園では20〜30頭の群れが見られることも
早朝や夕方の散策は観光客も少なく、落ち着いて鹿を観察できます。
子鹿は5〜7月に見られる
宮島では毎年60〜100頭の子鹿が生まれます。
5〜7月に訪れると、母鹿に寄り添う子鹿に出会える確率が高くなります。足元もおぼつかない姿は、宮島観光の忘れられない思い出になるはずです。
ただし前述のとおり、母鹿は警戒しています。近づかず、遠くから見守ってください。
よくある質問にお答え

観光前に気になる点をまとめました。
触っても大丈夫か
接触についてお答えします。
マダニは心配ないか
衛生面についても押さえておきましょう。
子連れでも安全か
家族旅行での注意点です。
まとめ|守れば楽しめる
宮島の鹿は、厳島神社とともにこの島の歴史を生きてきた存在です。正しい知識を持って接すれば、思い出に残る時間になります。
私は何度も宮島を訪れていますが、鹿に持ち物を狙われたことは一度もありません。手に何も持たずに歩いていたからだと思っています。逆に言えば、紙や食べ物を出したまま歩けば、いつ狙われてもおかしくないということです。
最後に、押さえておきたいポイントを整理します。
- 切符はカバンの奥へ。帰りの切符を食べられた実例があります
- 地図は手に持たない。ポケットからも抜き取られます
- お土産の紙袋は隠す。買い物後こそ狙われやすい
- 紙を与えるのは有害。「草食獣は紙を食べる」は誤解です
- 9〜11月のオス、5〜7月の母鹿に近づかない
- 触らない。マダニなど寄生虫のリスクもあります
宮島の鹿はかわいい存在ですが、野生動物であることを忘れないでください。距離を保って観察するだけで、十分に楽しい時間が過ごせます。
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