ソウルには五大古宮と呼ばれる宮殿がありますが、中でも景福宮と昌徳宮は観光スポットとして特に人気があります。それぞれ異なる魅力を持つ古宮ですが、景福宮と昌徳宮どちらに行くのがおすすめなのでしょうか。景福宮と昌徳宮を比較しながら解説していきます。
景福宮の基礎知識
景福宮は1395年に創建された朝鮮王朝の王宮でソウル市内に位置しています。朝鮮王朝時代に建てられた王宮の中で最も大きい宮殿です。朝鮮の歴史と文化を深く感じることができる場所として観光客を中心にとても人気があります。現代でも歴史的な価値を持ち続け、韓国の重要な文化財として大切に保存されています。
正殿である勤政殿を中心に、多くの美しい建築物や庭園が広がります。勤政殿は当時の各種即位式の会場となった場所で今も荘厳な雰囲気が漂っています。興礼門前では朝鮮時代の守門軍の交代儀式を再現した守門将交代儀式が行われていて人気イベントになっています。また、景福宮では韓服を着て散策する体験も楽しめるため、最近韓服を着ている方をたくさん見かけます。
昌徳宮の基礎知識
昌徳宮は1405年に創建された朝鮮王朝の王宮でソウル市内に位置しています。景福宮の離宮として建てられた王宮で、多くの王が居住した歴史を持ちます。王宮全体が自然と調和するように設計されており、特に後苑はその美しさで有名。後苑は四季折々の風景を楽しむことができ、散策路や池・庭園が広がっています。
1997年にはユネスコの世界文化遺産に登録されて、歴史的価値が国際的に認められました。朝鮮王朝の歴史と美を体験できるため、観光客にも人気です。
徹底比較!景福宮 vs 昌徳宮
ソウルの五大古宮の中でも人気を二分する景福宮と昌徳宮ですが、どちらに行くのがおすすめなのでしょうか。さまざまな角度から比較してみます。
比較①:世界遺産への登録
景福宮と昌徳宮どちらも歴史の深い古宮なので世界遺産に登録されていてもおかしくないですよね。実は世界遺産に登録されているのは昌徳宮のみで、景福宮は世界遺産に登録されていません。
昌徳宮は1997年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。これはソウルで2番目という早さで登録され、ソウルの五大古宮の中では唯一の登録です。登録理由はこちらです。
- 東アジアの建築史において非定型的な造形美を秘めた代表的な宮殿
- 自然環境との完璧な調和と配置が卓越している
景福宮は世界遺産には登録されていませんが、国宝や宝物に指定された文化財がたくさんあるので、十分貴重な古宮だと言えるでしょう。
比較②:見どころ
景福宮と昌徳宮それぞれどのような見どころがあるのでしょうか。
- 光化門
- 景福宮の正門。堂々とした姿が印象的。光化門の前に広がる光化門広場も有名。
- 守門将交代儀式
- 興礼門・光化門前で行われるイベント。1日2回10:00と14:00に20分間行われる。
- 興礼門
- 光化門を潜った次にある中門。鮮やかな装飾が印象的。
- 勤政殿
- 景福宮の正殿で、国宝第223号に指定されている。色鮮やかで壮麗な印象。
- 慶会楼
- 池の上に建てられた楼閣。国宝第224号に指定されている。宴や接待を行った場所。
景福宮の見どころとなっている場所やイベントの方が知名度が高いですが、昌徳宮は感動するほどの美しい自然を楽しめます。また、どちらも韓国の雰囲気満載で、まるで韓国歴史ドラマの中に迷い込んだかのような感覚を覚えます。楽しみ方は異なりますが、どちらも見応えがある魅力溢れる場所だと言えるでしょう。
比較③:観光客の多さ
景福宮・昌徳宮を訪れる観光客の多さから人気度や混み具合を比べてみます。2024年1~6月に見学に訪れた人数のデータがあったので見てみましょう。
景福宮 | 昌徳宮 |
---|---|
321万1876人 | 88万1646人 |
五大古宮の中で最も見学者数が多いのが景福宮です。韓国の観光名所と言われて必ず上位に挙げられるほど有名なスポットで人気度も高いです。そのため混んでいることが多いのも特徴です。特に守門将交代儀式はとても多くの人が見学に集まります。ベストポジションで見学したい方は開始の30分以上前からスタンバイして場所取りをする必要があります。
昌徳宮は景福宮ほど見学者数が多くないため人気度では景福宮に劣りますが、その分空いているためゆっくりと見学できるでしょう。
比較④:営業時間
景福宮・昌徳宮の営業時間を比較してみましょう。
- 営業時間
- 9:00~18:00(3~5月)
- 9:00~18:30(6~8月)
- 9:00~17:00(11~2月)
- 春・秋に期間限定で夜間観覧あり。(水曜~日曜のみ)
- 休業日
- 火曜日
営業時間はどちらもほぼ変わりません。休業日が異なるので注意しましょう。景福宮・昌徳宮ともに春と秋の一定期間に特別夜間観覧を行っています。日中と違ってライトアップされることで古宮が幻想的に浮かび上がり、ロマンチックな夜を過ごせます。
景福宮の夜間観覧
景福宮の夜間観覧は1日3,300人限定で、事前にオンライン予約が必要です。外国人に関しては1日300人まで先着順の当日券販売があり、18:40頃から販売開始されます。夜間観覧は1人3,000ウォンです。早めに行って当日券の列に並ぶことでチケットをゲットできます。外国人向けの当日券なのでパスポートを必ず持参してください。
昌徳宮の夜間観覧
昌徳宮の夜間観覧は月明かり紀行というタイトルの元、提灯で道を照らしながらガイドと一緒に歩く約100分間のプログラムになっています。ただし、チケットは事前にネット予約が必要なのですが、韓国在住の外国人登録証と韓国の携帯電話を持っている方しか利用できません。外国人には夜間観覧の期間中数日だけ外国人向けのプログラムが用意され、そこに申し込むことで観覧できます。外国人向けも事前のネット予約が必要ですが、こちらはグローバルサイトのため日本人も予約可能です。
ちなみにソウルの五大古宮の中で徳寿宮・昌慶宮は毎日夜間観覧を行っているので、古宮ナイトを楽しみたい方は要チェックです。ナイトツアーもあるので参加してみてください。
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比較⑤:見学にかかる所要時間
景福宮・昌徳宮の見学にかかる所要時間を比べてみましょう。
景福宮 | 約2時間 |
---|---|
昌徳宮 | 約1時間(一般エリアのみ) 約3~4時間(一般エリア+後苑エリア) |
景福宮は10:00開始と14:30開始の1日2回無料ガイドツアーを行っています。所要時間は約1時間~1時間30分で、主要なポイントを解説しながら回ってくれます。10名未満のグループで行く時は事前の予約は不要です。ガイドツアー+守門将交代儀式のセットがベストでしょう。
昌徳宮は2つの観覧プログラムがあり、一般観覧と後苑特別観覧です。一般観覧は仁政殿を中心とした基本的な観覧コースで、自由に見学して回れます。後苑特別観覧は後苑の入口から後苑の白眉玉流川に向かうコースで、自由に見学はできず、約90分のガイドツアーへの参加が必須です。後苑特別観覧は参加可能人数が限られており、日本語ガイドは10:30のみなので事前予約がおすすめです。
参考までに、景福宮と昌徳宮の主な見学できる建造物や遺産はこちらです。
- 光化門と宮廷の石垣
- 勤政殿一帯
- 思政殿一帯
- 康寧殿と交泰殿
- 欽敬閣と含元殿
- 慈慶殿一帯
- 東宮一帯
- 咸和堂と緝敬堂
- 香遠亭と乾清宮
- 集玉斎一帯
- 泰元殿一帯
- 慶会楼
- 修政殿と闕内各司
比較⑥:観覧料金
景福宮・昌徳宮の観覧料金を比べてみましょう。
景福宮 | 大人:3,000ウォン 18歳以下&65歳以上:無料 ※韓服着用者は無料 |
---|---|
昌徳宮 | 【一般エリア】 大人:3,000ウォン 18歳以下&65歳以上:無料 【後苑エリア】 19歳以上:5,000ウォン 7~18歳:2,500ウォン 6歳以下:無料 ※韓服着用者は無料 |
景福宮と昌徳宮の一般エリアは同額ですが、昌徳宮は後苑エリアに行く場合は一般エリアの3,000ウォンにプラスして5,000ウォンがかかります(大人の場合)。昌徳宮は後苑がとても人気なので、少し高くても後苑のツアー参加がおすすめです。
景福宮・昌徳宮ともに韓服を着用している方は無料で入場できます。韓服レンタルのお店が王宮付近にたくさんあるので、韓服レンタルして入場するのが人気です。
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\ 昌徳宮より徒歩3分! /
比較⑦:アクセスのよさ
景福宮と昌徳宮はどちらもソウル市内にありますが、具体的にどのあたりにあるのでしょうか。アクセスで比較してみます。
- 最寄り駅からのアクセス
- 地下鉄3号線「景福宮」駅5番出口より徒歩5分
- 地下鉄5号線「光化門」駅2番出口より徒歩10分
- ソウル駅からのアクセス
- ソウル駅~(1号線)~鍾路3街駅~(3号線)~景福宮駅~(徒歩)~景福宮
- 所要時間:約20分
景福宮の離宮が昌徳宮ということもあり、景福宮と昌徳宮は非常に近い位置にあります。安国駅が起点となり、安国駅の西側にあるのが景福宮、東側にあるのが昌徳宮です。どちらもソウル中心部にあり、アクセスも抜群によいので観光しやすいですね。
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比較⑧:セットで行ける観光スポット
ソウルは見どころがたくさんあるので、景福宮・昌徳宮だけではなく他の人気観光スポットも組み合わせて行きたいですよね。景福宮・昌徳宮と組み合わせて行きやすい観光スポットを挙げてみます。
- 青瓦台
- 景福宮興礼門より徒歩約17分
- 三清洞通り
- 景福宮興礼門より徒歩約15分
- 北村韓屋村
- 景福宮興礼門より徒歩約25分
- 国立現代美術館 ソウル館
- 景福宮興礼門より徒歩約10分
- 国立民俗博物館
- 景福宮興礼門より徒歩約7分
- 国立古宮博物館
- 景福宮興礼門より徒歩約5分
- 光化門広場
- 景福宮興礼門より徒歩約7分
- 通仁市場
- 景福宮興礼門より徒歩約15分
景福宮は興礼門から、昌徳宮は後苑の芙蓉池から徒歩で行ける観光スポットを選択しています。景福宮と昌徳宮同士が近い位置にあるので、お互いが組み合わせていける観光スポットであるとも言えますが、どちらかというと景福宮側の方が観光スポットが多い傾向にあります。
景福宮は敷地内に国立の博物館があり韓国の歴史を学べるスポットが充実しています。景福宮の北側にある青瓦台は一般開放が始まり、新たな人気観光スポットになっています。昌徳宮との間にありどちらからも行きやすいのが北村韓屋村。韓屋が建ち並び韓国らしさを味わえる貴重な場所なので一緒に観光する方が多いです。
比較⑨:韓国ドラマのロケ地
古宮というと韓国の歴史ドラマを思い浮かべる方もいいですよね。実際にドラマのロケ地としてもよく使われています。景福宮と昌徳宮がロケ地になっている韓国ドラマを見てみましょう。
- 宮廷女官チャングムの誓い
- 2003年製作
- 主演:イ・ヨンエ
- 屋根部屋のプリンス
- 2012年製作
- 主演:ユチョン
- 太陽を抱く月
- 2012年製作
- 主演:キム・スヒョン
- 雲が描いた月明かり
- 2016年製作
- 主演:パク・ボゴム
- トッケビ
- 2016年製作
- 主演:コン・ユ など
どちらも韓国の人気歴史ドラマで頻繁に使用されており、韓国の歴史を表現するには欠かせない場所になっています。
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それぞれおすすめはこんな人!
さまざまな角度から景福宮と昌徳宮を比較してきましたが、総合するとこのような結果が見えてきました。
- 景福宮がおすすめな方
- 人気のある古宮に行きたい
- 守門将交代儀式のイベントを鑑賞したい
- 昌徳宮がおすすめな方
- 自然の美しさに触れたい
- 古宮を静かにじっくり味わいたい
ソウル旅行で古宮見学を一つでも取り入れたいという方はチョイスする上での参考にしてみてください。
まとめ
景福宮と昌徳宮を比較してきました。どちらも韓国の歴史を知る上では非常に重要な場所で、韓国らしさを味わえる場所でもあるので、じっくり見学を楽しんでみてください。